ユーザエクスペリエンスのためのDIYテスティング体験記〜見学者編〜

「ユーザの思いがけない行動からは、良いフィードバックが得られる」という話。

前回、ユーザ(被験者)として参加したユーザビリティテストに、今度は見学者として参加しました。

テストを見学していると、ユーザの思いがけない行動がありました。
それは、タスクの達成を目指して作業をするのではなく、サイト中をウロウロと見回していた事でした。

その時は、画面構成の分かりづらさが原因?と考えて見ていたのですが、テスト後のインタビューで得られた回答は、「テストなので取りあえず一通り見たが、やはりタスクを達成する気にはなれなかった。そもそもこのテストで設定されている状況ではWebサービスを使用しない、信頼出来る人にお願いする」というものでした。

ユーザビリティテストではこの様に、顧客ニーズ等様々なフィードバックが得られます。
しかし、ユーザの行動をただ見学しているだけでは、良いフィードバックは得られません。
ユーザの思いがけない行動(=こちらが想定していなかった行動)に着目すると、サービス運営の視野を広げる良いフィードバックが得られると思います。



テスト当日の流れと、KPTによるふりかえり

当日の流れ

  1. ユーザの到着前に準備、飲み物・お菓子・席を用意
  2. ユーザが落ち着くまで世間話
  3. Skypeで画面共有の設定
  4. 情報提示カードで状況とタスク(前回とほぼ同じ)を説明
  5. インタビューアがユーザの横に座り、ユーザが思った事を口に出しやすい様にサポート
    • ユーザが黙々と作業する事がないように、自然な形で会話をした
  6. ユーザの行動と発言をメモ
    • メモに意識が向いてしまいユーザに集中出来なくなってしまったので、途中からはメモを取るのをやめた
  7. リプレイ
  8. 事後インタビュー
    • ユーザの行動や発言で気になった点について質問
  9. テスト自体のふりかえり
    • 気持ち良くテストを受けれたか、より良くフィードバックを得るには、等を議論

今回のふりかえりKPT

  1. メモ
    P:メモを取ることに気を取られ、ユーザの行動に集中出来なかった
    T:録画・録音する
  2. サポート
    K:インタビューアが話し相手になる事で、テストの心理的ハードルを下げる事が出来た
    P:本来ならユーザが悩むところで悩まず、サービスのハードルも下がってしまった
    T:ユーザからの質問に答えない
    T:ユーザの行動が止まった時に、「何に戸惑っているか」を質問する
  3. 事後インタビュー
    K:行動理由を聞く事で、良いフィードバックが得られた
    P:フィードバックについて議論する場がなかった
    T:フィードバック分析をテスト計画に組み込む

前回からのActionとふりかえりKPT

  1. 事前説明
    A:誰がいて・何をして・何時間かかるのか、を事前に説明する
    K:テストの概要、所要時間、時間の内訳と内容、参加者(実施側)を事前に説明した
  2. 緊張
    A:IceBreak(自己紹介等)をする
    K:ユーザが落ち着くまで雑談した
    K:お菓子を用意した
  3. 普段通りの環境(ソフトウェア&ハードウェア)
    A:事前に調査するか、想定される環境を用意する
    K:ユーザにPCを持ち込んでもらったので、普段通りの環境でテストが実施出来た
    P:"データの初期化"等の問題がある
  4. 情報提示カード
    A:一目で見れるように、印刷するか、iPadで提示する
    K:一枚の用紙に印刷した
  5. 座席
    A:ユーザの視界に入らない
    K:インタビューアが横に、見学者はユーザの視界に入らない場所に
  6. 思った事を口に出す
    A:CommitBellで表現してもらう
    K:CommitBellを使用した
    K:ユーザが話しやすいように、インタビューアがサポートした