ユーザエクスペリエンスのためのDIYテスティング体験記〜見学者編〜
「ユーザの思いがけない行動からは、良いフィードバックが得られる」という話。
前回、ユーザ(被験者)として参加したユーザビリティテストに、今度は見学者として参加しました。
テストを見学していると、ユーザの思いがけない行動がありました。
それは、タスクの達成を目指して作業をするのではなく、サイト中をウロウロと見回していた事でした。
その時は、画面構成の分かりづらさが原因?と考えて見ていたのですが、テスト後のインタビューで得られた回答は、「テストなので取りあえず一通り見たが、やはりタスクを達成する気にはなれなかった。そもそもこのテストで設定されている状況ではWebサービスを使用しない、信頼出来る人にお願いする」というものでした。
ユーザビリティテストではこの様に、顧客ニーズ等様々なフィードバックが得られます。
しかし、ユーザの行動をただ見学しているだけでは、良いフィードバックは得られません。
ユーザの思いがけない行動(=こちらが想定していなかった行動)に着目すると、サービス運営の視野を広げる良いフィードバックが得られると思います。
テスト当日の流れと、KPTによるふりかえり
当日の流れ
- ユーザの到着前に準備、飲み物・お菓子・席を用意
- ユーザが落ち着くまで世間話
- Skypeで画面共有の設定
- 情報提示カードで状況とタスク(前回とほぼ同じ)を説明
- インタビューアがユーザの横に座り、ユーザが思った事を口に出しやすい様にサポート
- ユーザが黙々と作業する事がないように、自然な形で会話をした
- ユーザの行動と発言をメモ
- メモに意識が向いてしまいユーザに集中出来なくなってしまったので、途中からはメモを取るのをやめた
- リプレイ
- 事後インタビュー
- ユーザの行動や発言で気になった点について質問
- テスト自体のふりかえり
- 気持ち良くテストを受けれたか、より良くフィードバックを得るには、等を議論
今回のふりかえりKPT
- メモ
P:メモを取ることに気を取られ、ユーザの行動に集中出来なかった
T:録画・録音する - サポート
K:インタビューアが話し相手になる事で、テストの心理的ハードルを下げる事が出来た
P:本来ならユーザが悩むところで悩まず、サービスのハードルも下がってしまった
T:ユーザからの質問に答えない
T:ユーザの行動が止まった時に、「何に戸惑っているか」を質問する - 事後インタビュー
K:行動理由を聞く事で、良いフィードバックが得られた
P:フィードバックについて議論する場がなかった
T:フィードバック分析をテスト計画に組み込む
前回からのActionとふりかえりKPT
- 事前説明
A:誰がいて・何をして・何時間かかるのか、を事前に説明する
K:テストの概要、所要時間、時間の内訳と内容、参加者(実施側)を事前に説明した - 緊張
A:IceBreak(自己紹介等)をする
K:ユーザが落ち着くまで雑談した
K:お菓子を用意した - 普段通りの環境(ソフトウェア&ハードウェア)
A:事前に調査するか、想定される環境を用意する
K:ユーザにPCを持ち込んでもらったので、普段通りの環境でテストが実施出来た
P:"データの初期化"等の問題がある - 情報提示カード
A:一目で見れるように、印刷するか、iPadで提示する
K:一枚の用紙に印刷した - 座席
A:ユーザの視界に入らない
K:インタビューアが横に、見学者はユーザの視界に入らない場所に - 思った事を口に出す
A:CommitBellで表現してもらう
K:CommitBellを使用した
K:ユーザが話しやすいように、インタビューアがサポートした